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1976年神奈川県生まれ。東京在住。ある実在する絵画を模してセットを組み、デジタルカメラによりその変化を捉えた映像作品を2001年より制作。また、近年は映像の一場面より絵画も制作。美術作品として国内外で展示、上映される他、映画祭などで映画としても上映される。 http://db-beam.com/mk-works/

 

（ WHO 003
定価：700円 ）

絵画を模したセット（植物を含む静物など）の前にカメラを固定し、30分〜2時間に1度シャッターが降りる様に設定、1か月〜4か月程放置するという様に撮影方法はドキュメンタリーの要素が強い。1000枚〜3000枚程の写真を得、撮った写真をより絵画に近付ける様に変形、彩色、描画を施し、つなぎ合わせ、映像作品として仕上げる。絵画の一場面の続きの世界が記録され、絵画の中で花や木が育ち、朽ち果て、人物は眠り、呼吸する。
撮影された静物は、一枚の絵画の様に時を失って見える。しかし、集積した時間が映像として現前するや否や、妙な現実感や生々しさを持って死に向かって生きはじめ、奇妙で居心地が悪く美しい風景を見せる。

W：これは、ふすまに映像を映しているのですか？

小瀬村：この作品は、最初に築百年の民家で展示をしたんですけど、その民家を見た時にふすまに投影したいなと思ったんですよね。

W：映されているのは、これは、春の植物なのですか？。

小瀬村：そうですね。この「四季草花図−春−」は、春に撮影し、制作したものなんですけど、次の展示の時は、これに秋と冬が入ったものを展示する予定で、最終的には四季全てが含まれた「四季草花図」となる予定です。また、展示の形態も、襖に投影したり、壁面に投影したり、二面になったり四面になったりと展示空間によって変わっていきます。和室でのふすま絵の在り方を考えた時に、ふすまを開けるとふすまは片面だけになったり、天袋に別の風景が描かれていたりする様に、画面の投影の仕方によって色々形態が変わるのもおもしろいかなと思っています。

W：この映像は、何か不思議な感じがしますけど、これは、絵なのですか？

小瀬村：これは、写真を繋ぎあわして作られた映像なんです。横幅3m程の庭のセットを組み立てて、そこでデジタルカメラで１時間に一回、２ヵ月程撮影した写真、1500枚程を一枚一枚絵画に近付けるようにコンピューター上で加工をして、つなぎ合わせてできた映像です。2001年以降の映像作品は、そういった手法で作っています。

W：２ヶ月の間、ずっと、撮り続けているのですか。撮影中は、小瀬村さんは何かしているのですか、花とか触ったりとか？

小瀬村：撮影中には、データを収集するだけで、セットには手を加えないようにしていますね。撮影した写真に対しては、色や形を、絵的な方へ、リアルじゃない方へ手を加えていきます。ただ、動き自体は本物の動きのままです。他がどんなに変形されても残された動きだけは見えてくるような、そこだけは日常と唯一つながっているような。今回の作品は、今までの中でも変形の度合いが一番激しかったので、動いたらどんな風に見えるのか、すごく興味がありました。

W：実際、映像になってどうでした？

小瀬村：写真を一枚だけ見ると絵にしか見えないのに、実際につないで動かしてみると、妙にリアルに見えるんですよね。動きが持っている力を感じました。見ている人も花が咲いて枯れていくのが生々しいのを見て、CGでもアニメでもないし、一体これは何？という人が多かったですね。多分、CGではあり得ない汚さで枯れていくのが、あまりにもリアルに見えたのだと思います。花が咲いて枯れていくのを実際にはこの様な速い速度で見たことはないはずなのに、花の動きは、同じ生物として分かるというか。例えば、人の動きとか、木の葉が落ちる動きはとかそれを再現しろと言われても、口では説明はできないけど、CGか実写か、本物か本物じゃないか、ということは本能的に何となく分かるんですよね。

（WHO003より抜粋）