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007

大垣 美穂子

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profile

1973年富山生まれ、茨城在住。1995年に渡独、Kunstakademie Dusseldorfにて立体を学ぶ。2010年にドイツより帰国し、活動拠点を日本に移す。
http://www.mihoko-ogaki.com
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WHO 007
定価:1,200円
A5変形・96ページ
日英バイリンガル

無数のビーズによって構成される宮型霊柩車、真っ黒いキャンパス上に針のようにとがったもので、うたれた白い無数の点、人体から放射される無数の光。大垣美穂子さんの作品は、光、穴、点が無数に集まることで初めて姿を表します。そして、誰も経験したことのない死だからこそ、どれだけでもファンタジーを広げていけると言うように、その壮大でドラマチックなビジュアルの隙間からは、彼女の死に対するエゴイスティックな部分、そして、人々に忘れ去られたものや、どこか居心地を悪くさせるようなものが、仄かに見え隠れしているのです。


大垣:ドイツのコンテンポラリーは日本と比べるとすごく理詰めでガチガチで最初はとまどいもありました。私は理屈が最初じゃなくってイメージが先にくるタイプなので、ドイツだと珍しいタイプって言われていて、異質な感じで見られていました。


内藤:異質でないと駄目ですよ。芸術でも突拍子もない非常識は、常識的常識を壊して新しい常識を造りだす。富山からドイツになぐりこみかけて、ベンツを解体して、生と死を語って。すごいですよ。


大垣:あの霊柩車は3年ぐらいかかりました。頭フル回転で、人を使って、立体作業して。死をテーマにした作品にもかかわらず、今までで一番生を感じました。


内藤:生からは死は視えないが、死からは生の本質がよく視えるんですよね。肉体から出てくる発想ってすごいと思いますよ。肉体を追いこんでゆくと、脳が廻り始めますからね。そうすると次々と直感的にひらめいて、自分の想像を越えた世界が出てくる。


大垣:霊柩車を作った時に私、アートって、理論がどうとか、美しくってきれいなものとかじゃなく、きっとこの温度だっていうのは体で理解しました。そういう温度を狙って作品を作っています。そういう点でも、立体を信用しています。地上から天に向かって立ち上がるあの感覚って空間を圧迫させるというかオーラがあるというか。こんなに小さい人間が作っているのに作品は私以上になってくれる。


内藤:優れたアートは作者を超えますね。黒い人体像の中に光を入れたでしょう。あれで空間が広がりましたね。人体の無数の小穴から光を発し、天井や壁に星空を映しだす立体造形「Milky Way」シリーズの作品、あれは大宇宙を人体に閉じこめた「逆プラネタリュウム」ですよ。
黒い人物像から空中に放射されている光線そのものは見えないけれど、例えば、周囲で煙を焚けば、見えますよね。人体から無数に放射している光線を想像すると、無限の宇宙空間を感じます。あの霊柩車と乳母車にしても中に映像と音が仕掛けられている。だいたい単細胞生物はどんどん細胞分裂していけばいいからいいけど、私たちの細胞の中のDNAには「死」がインプットされている。どんなに長生きしても何百歳は生きられない。私たちは生まれた時から死に向かって生きているわけですからね。大垣さんの芸術の根底にあるのは、宇宙や生命、生と死といったテーマのように思います。


(対談:大垣美穂子・内藤正敏/WHO vol.7より抜粋)

 


「死や老いといったネガティブな概念を、宗教でも哲学でもなく、美術というカテゴリーの中で、ドラマティックかつロマンティックなエネルギーに変容させたい。」

「昔からすごく乙女チックに育っている。大人になるにつれ、デビッド・リンチとか、吉原炎上とか、異質なモノがいっぱい付随してきて、何だこれ、みたいなものができあがっているけど、今でも、骨の部分はキャンディキャンディ。キラキラしているものに弱かったり、現実ではありえないことを、想像することで自分のものにしてしまっていたり、どこかでハッピーエンドを求めている。」


(WHO vol.7より抜粋)



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staff

杉原洲志 Shuji Sugihara
1976年生神奈川生まれ。
WHO編集長/アートディレクター