blog

WHO取材記 大垣美穂子 VOL.02

カテゴリ:

2012-3-6(Tue)

次号のWHOで特集するのは、大垣美穂子さん。

美緒子さんは2年前に
15年間住んだドイツのデュッセルドルフから帰国し、
今は、取手市に在住。

猫のてっちゃんと
同じく美術作家である旦那さんと、
広い一軒家に住んでいる。

120304_01.jpg

2階には、寝室と、それぞれの書斎があって、
1階には、キッチン、ダイニングリビング、客間と
作品&工具置き場が。

120304_02.jpg

120304_03.jpg

工具と作品で埋め尽くされています。
やはり、立体作品を作るには、
広いスペースは必要不可欠なよう。

制作作業は、基本的にはこの庭でやるそうです。

120304_04.jpg

これは、てっちゃんの遊び道具。

120304_05.jpg

もう少し暖かくなると
てっちゃんがはしゃぐ横で、
美穂子さんが削ったり、くっつけたりと
制作に励む姿が見れるようになるのでしょう。

次に作るのは、ミルキーウェイシリーズの関連作。

「ひとつひとつの光は、感情の粒。
年を重ねれば重ねる程、嫉妬だったり、思いやりだとか、
感情は、すごく複雑になって、どんどん数が増えていく。
そして、星空のような、無数の光となって美しく輝く。」

120304_06.jpg

年を重ねることは、感情の粒が増えていくこと。
すごく素敵な考え方だと思った。

120304_07.jpg

これは、好きな漫画で挙げた山岸凉子の「鬼」。
感情が減っていくことの切なさや、
一つの感情に支配されることの恐ろしさが描かれた短編集。

表題にもなっている「鬼」では、
食いぶちを減らすため、穴の中に捨てられた
男の子が現代の世界に現れる。
永遠に続く空腹と親に捨てられたという絶望的な状況の中、
子供達が持つ感情は少しずつ排除されていき、
親に対する愛憎、友達を食べてしまった罪悪感が残る。
長い時間をかけて、光の粒がひとつ、
またひとつと、ぽつぽつと消え、
残った粒が、200年近くも弱々しく
光り続けた後にスッと消えていく話。

「肥長比売(ひながひめ)」では、
失恋の悲しみのあまり、川に身を投げた女性が
大きな海蛇となって現れる。
一つの粒が他のすべての粒を覆い隠してしまう程巨大化する。
そして、その巨大化したモノは、
ライバル女を深い川の底へとさらっていってしまう。

その他にも好きな漫画には、
萩尾望都や大島弓子等の王道の少女漫画作品が並ぶ。

美穂子さん曰く
「昔からすごく乙女チックに育っている。
大人になるにつれ、デビット・リンチとか、吉原炎上とか、
異質なモノがいっぱい付随してきて、
何だこれ、みたいなものができあがってるけど、
今でも、骨の部分はキャンディキャンディ。
作品にも少女漫画に憧れる少女っぽい部分があると思う。
現実ではありえないことを、想像することで
自分のものにしてしまっていたり、
どこかでハッピーエンドを求めている感じだったり。」

確かに、老人が、星の数程の感情を持って光り輝く姿は、
最高のハッピーエンドのような気がする。

前に展示を見に行った時に
室内の電気をつけてくれたことがあった。
幻想的な光の粒が消え、
蛍光灯にさらされた現実の肉体に
思わずぞっとしてしまった。
やせ細り、朽ちていく体に対して、
僕はどうしても悲劇的な印象を持ってしまう。

120304_08.jpg

「怖いんだけどすごくきれい。
怖い、美しい、両極端の感情が共存するものに魅力を感じる。」
と彼女が言うように、
悲劇とハッピーエンディングが共存する魅力的な作品。

120304_09.jpg



WHO取材記 大垣美穂子 VOL.01

カテゴリ:

2012-2-6(Mon)

次号のWHOで特集するのは、大垣美穂子さん。
一回目の取材は、作品や好きな映画についてお話を聞きました。

彼女が好きな映画の一本にあげたのが「蒲田行進曲」。
この映画に出て来る風間杜夫演じる銀ちゃんが理想の男性像だそうです。

120206_01.jpg

何年か前に見た時の印象だと、
スターである銀ちゃんは、身辺整理と言って
身ごもった落ち目の女優小夏を
子分でもある大部屋役者のヤスに押し付けたり、
かなり、わがままで身勝手な人。
それだったら、真面目だけが取り柄のようなヤスの方が
幸せにしてくれそう気が。

でもそれは、美穂子さんからすると
分かってないということになる。
銀ちゃんとヤスに対して、
僕と同じような感想を持った人が予想以上に多く
原作者のつかこうへいは、続編の小説では、
ヤスの駄目っぷりと、銀ちゃんの器の大きさをより強調して描いたとのこと。

そこんとこを意識してもう一度見直しみると、印象が随分と違う。

銀ちゃんは、ただただ自分がやりたいと思ったことを
他人の迷惑も考えずに突き進もうとする実に明確な人。
そして、その銀ちゃんがつくりだす状況に対しての、
受け入れ方が小夏とヤスでは大きく違う。

小夏は、銀ちゃんのむちゃな要求を覚悟を決めて受け入れ、
結果的にヤスの女になる。
銀ちゃんから戻ってこいと言われようと、
ヤスを献身的にサポートする。

対してヤスは、
小夏を押し付けられる時も、
銀ちゃんのために階段落ちを引き受ける時も、
その場では、嫌な顔ひとつせずに、
やります!やります!って言うけど、
でも、そこまでの覚悟を持ってないから、
状況が変化してくると、ほころびがでてきてしまう。

そしてそのほころびが、
階段落ちの前夜に一気に吹き出す。

120206_02.jpg

その八つ当たり方がすごい。
神棚がくだかれ、ガラスが割れ、灰がまい、
怒りにまかせ部屋をめちゃめちゃにする。

120206_03.jpg

120206_04.jpg

ごくごくたまに、モノにあったたりするけど、
頭の隅では、現状復帰のことを考えているから、
面倒くさくならないものに手を伸ばす。
でも、さすがにここまでくると、現状復帰の道はない。
もう別の物になる。

こちらは、
Sonic Youthのジャケットにもなった
Jeff Wallsの「destroyed room」。

120206_05.jpg

モノは、破壊され機能が失われると、ただのなんでもないものになる。
そうすると、不思議と、今まで見えてこなかった
色や質感や形というものが、見えてくる。

美穂子さんの「over the pain」は、
むかついたことを叫びながら、ガラス玉を目の前の壁にぶつけ、
それをホットボンドでくっつけたという、
人の怒りや痛みを形にしたような作品。

120206_06.jpg

120206_07.jpg

「喜びと悲しみ、男と女といった、
両極にある相反するものを、
あるラインを超えることで反対側にスライドできるのではないか、
ある温度を超えたら、痛みは美しいものになるのではないか」という
コンセプトのものとに作られた作品。

120206_08.jpg

モノは割れると
現状復帰の道はなくなり、別のものになる。
割れることで、新たな質感、複雑な形、色が生まれ
そこには、ラインを超えてしまった
別の美しさがある。

120206_09.jpg

次回の取材もどうぞよろしくお願いします。



WHO取材記 黒沼真由美 VOL.06

カテゴリ:

2011-1-13(Thu)

次号のWHOで特集するのは、くろちゃんこと黒沼真由美さん。

対談パート2は、
くろちゃんとは10年近くの付き合いのある
藤田先生との対談。
専門は、寄生虫学、熱帯医学の医学博士。
寄生虫とアレルギーの関連の研究、
人畜共通感染症の研究、
感染症と水の研究等をされています。

都内にある藤田先生の事務所にお邪魔しました。
棚にはサナダ虫やら、藤田先生著の本やら。

110110_01.jpg

110110_02.jpg

「サナダ虫は3000匹の運命共同体。」

「昔から日本人は生き物に対してやさしかった。
一茶の俳句でも"やれ打つな、蠅が手をする、足をする"ってあるでしょう。」

「キレイと汚いということが、言葉遊びになってしまっている。」

共生するとはどういうことなのか。
キレイとは、汚いとは、どういうことなのか?
興味深い対談が続きます。

110110_03.jpg

ひとつではないはずの、キレイ、汚い、といった概念が一つの方向に向かい
わずか20数年間で、70%以上あった回虫の感染率が0.2%以下になった。
皆が一斉に同じ方向を向いて動く日本の国民性は、時として恐ろしい。
そうした状況の中で、同じ方向に向かず研究を続ける藤田先生と
作品を作り続けている黒沼さん。
そこには大事なものがあるんだなぁと感じる2人の対談でした。

110110_04.jpg

あっという間の2時間が過ぎ
すっかり、サナダ虫のファンにもなってしまいました。
なぜワシントン条約で守れていないのか疑問に感じるほどです。
すっかり長居をした上に、
コラーゲンシロップ付きコーヒーゼリーまでごちそうになりました。
初めて食べたコラーゲンコーヒーゼリーはおもしろい味でした。

多分一昔前までは、
コーヒーとゼリーが出会った。なんて、
それだけで物珍しい食べ物だったのに、
コーヒーゼリーだけでは、もはや「異質の組み合わせ感」が出ず
そこに更にコラーゲンを付けるのです。
じゃあ、じゃあ、次これとこれは?って
色々組み合わせてみたくなるんですよねぇ。
気持ち分かります。

細胞等を観察、検証して、そこから事実を導いていく医学と
もっと主観的で、事実とは別のところにある美術。
今日は一種の異分野組み合わせ対談でした。
そこには、分野の代表として臨むある種の緊張感もあり、
話がどこにいくか分からないおもしろさもある。
なおかつ、同分野の人同士が共有している常識や感覚がないので、
具体的な話にもなりそう。

ハーモニー重視の対談もいいけど
マングース対ハブのような、
異種格闘技のような対談も
それはそれでおもしろそうだなぁ。なんて
コラーゲン入りコーヒーゼリーを食べながら思いました。
READY SET FIGHT!

でも待って。
マングース対ハブだと、
結果が分かりきったものになってしまう。

そこは、企画側が魅力的なテーマを持って
互いの魅力を存分に引き出すものにしなくては。

じゃあ、マングースは、好物の生卵を片手に持ったまんまで。

FIGHT!
カーン!



WHO取材記 黒沼真由美 VOL.05

カテゴリ:

2011-1-10(Mon)

次号のWHOで特集するのは、くろちゃんこと黒沼真由美さん。

今回は対談です。

WHOでは、特集作家の作品を
キュレーターや批評家といった美術関係者が
どう見ているのか話を聞くべく、
毎号、作家と交流のある美術関係者との対談を行ってきました。

くろちゃんの対談相手は、AITのディレクター、インディペンデント・キュレーターの
ロジャー・マクドナルドさん。

前回の和田さん、前々回の原さんと
今回で3回連続の登場で、すっかりおなじみです。

110109_01.jpg

二人の出会いから始まり、
くろちゃんが持つ人間中心的でない目線、
人間の領域ではない所に対する興味から
日本の美術の中での位置まで、
興味深い話が続きました。

特に印象に残ったのは、
ロジャーさんの
「僕から見るとマユミがやってきたことの裏にはストーリー、
哲学のようなものがゆるやかにある。」という話。
取材を重ねる度に、黒沼さんの作品の裏には、
長い時間かけて凝縮された何かがあると感じていました。
「ゆるやかな哲学が流れている」という表現はすごく納得。

110109_02.jpg

美術の世界だけにとどまらず、
様々なものとリンクさせて
作品にへアプローチしていくロジャーさんの話は、
聞いていてとても楽しい。
作品に対する入口を本当にたくさん知っている。

原さんとの対談時には、
人々との会話から言葉を拾い出し、
絵と共に建物の窓から発信するという原さんの作品に対して、
どんどんと隠されていく個人の声や記憶を呼び起こす
考古学的な要素があると。

110109_04.jpg

そして、和田さんとの対談時には、
クリスマスライト、手彫りの熊、チラシといった、
どこにでもあるようなものを組み合わせる和田さんの作品を、
様々なプロセスを経て物質をトランスフォームさせ
何か価値のあるものを生み出そうとする錬金術ようだと。

110109_03.jpg

「考古学的」、「錬金術」
こういったキーワードが入口になって作品を見ると
今までとは、また違う魅力を発見できる。

入る入口によって全く違う印象をうけるところも
美術のおもしろさだと思う。
かわいらしく見えていたものが、
おそろしく残酷なものに見えたり、
すごく政治色の強いものに見えたり。
作家が意図していないような入口があってもいいのでしょう。

WHOも作品に対して、新たな入口を
提示できるような存在でありたいです。



WHO取材記 黒沼真由美 VOL.04

カテゴリ:

2010-8-25(Wed)

次号のWHOで特集するのは、
くろちゃんこと黒沼真由美さん。

四回目の取材は、黒沼邸にて。

100825_01.jpg

家の近くで見つけたという蛇の抜け殻がお出迎え。
多分アオダイショウのだと思うと、
うれしそうに見せてくれました。
蛇くさい蛇くさいと連呼しつつも、
見せてくれた後には
丁寧に布のようなもので包んでおりました。

今回は、黒沼邸のお宝を拝見。

気付いたらこんなことになってしまった、
というセロテープ。

100825_02.jpg

そしてサラブレット百科事典。
競争馬に関する血統の情報等がことこまかに載っている
まさに辞典です。
競馬評論家でもある作家の山野 浩一さんが文章を書いていて、
「気が乗らない時は極めて無能である」といったような
辛口文章で馬が紹介されているそう。
ただ、改版されたものには、
「気まぐれでそうした能力を常に発揮するわけではない」
と少し丸くなった表現に変わってしまったと、くろちゃん少し不服そうでした。

100825_03.jpg

他にも、生き物を中心とした
様々なお宝を拝見し、話は作品について。
前回のインタビュー時には、話が脱線に継ぐ脱線で、
くろちゃんが作品を作る意図が
好きだからということ以外はなかなか聞き出すことができなかった。
が、今回のインタビューでは
アルコールがまだ入っていないということが功を奏して、
色々な話を聞く事ができた。

ひとつの絵を見せてくれて、
「こういうすらすらした線を描いていると、
自分の中では、もうファインアートは描けなくなってしまうのでないかというのがある。
幼稚園児が真っすぐの線を引こうと思って描くけど真っすぐに描けないような、
自分が見えているものの方が、自分が描いている結果よりも
多分ずっといいものが見えているんだろうな、と期待をさせるような絵。」

確かに世の中、実質以上によく見せようとしているものが本当に多い。
レストランのショーウィンドゥに釣られて入ったら失敗したり、
映画の予告につられて見に行ったら本編にがっかりしたり。

具体的にどんな絵が好き?との問いには、
「ヘンリー・ダーガー。
ヴィヴィアン・ガールズはどうでもよくって、
南北戦争に出て来る馬の絵や、雲の描写がすごい素敵。」

100825_04.jpg

100825_05.jpg

丁度、前回のインタビュー後、
ヘンリー・ダーガーとくろちゃんには
共通点があるのではと秘かに思っていたところだった。

パンを主食に、カオスと化した家の中で
ひたすら作品を作り続けるくろちゃんは、
ヘンリー・ダーガー同様に、
自分たちが見た事もない景色を見ているのだろうなぁと思っていた。

今回のインタビューでは、
くろちゃんが作品を通じて、社会とどう関わっていくのかという話が聞けて、
あくまでも個人的なものとして描いていたヘンリー・ダーガーとの
大きな違いも発見できた。

一通り話しを聞いて心置きなく乾杯です。

100825_06.jpg

くろちゃんの家の畑で採れたトマトもつまみとして並ぶ。
左側の細長いタイプと
真ん中のどす黒いタイプのトマトが
くろちゃんの畑で採れたもの。

100825_07.jpg

どうやら、真ん中のドス黒いトマトは、
いい具合に熟した真っ赤なトマトを
見分けて食べてしまうカラスから、
守るためにできた品種らしい。

見かけをわざとまずそうにして、カラスから身を守り、
食べてみると普通に美味しい。
想像以上のトマト。



WHO取材記 黒沼真由美 VOL.03

カテゴリ:

2010-7-21(Wed)

次号のWHOで特集するのは、
くろちゃんこと黒沼真由美さん。

三回目の取材は、
西船橋のファミレスで待ち合わせ。
ちょっと遅れてくろちゃん登場。
どうやら、親の畑仕事を手伝ってきたらしい。
採れたてのじゃがいもをもらいました。

くろちゃんも高校生の時には近所の人から畑を借りて
スイカを育てていたとのこと。

大好きなスイカと、おもしろそうだから、そうめんかぼちゃと、おもちゃかぼちゃを育て、
美術部部長として、ゆるりと部員をまとめるかたわら
ちょくちょく競馬場にも足を運ぶ、女子高校生の時のくろちゃん。
当時のくろちゃんにも一度お会いしてみたかった。

そして、生き物の話。

くろちゃんの愛情は、
寄生虫、馬の他にも多種多様の生き物にそそがれる。

それを知ってか、
実に様々な生き物がくろちゃんの家に迷い込む。
昆虫はもちろん、雀の子どもや白い蛇までも。
家に迷い込んだ生き物に対してくろちゃんは、
せっかくだから何かごちそうを、ということになるらしい。
プリンやら、肉やら。
お酒まで一緒に飲んだ事も。
真っ白な蛇がピンク色になったらしい。

道を歩くくろちゃんを追っかけてきて、
肩に登ってきた猫もいる。
今では、その猫はイチと名付けれて黒沼家で飼われいます。

くろちゃんが唯一苦手な生き物は、なめくじ。
あとヒルも駄目。
かたつむりは持つところから大丈夫。

そんなこんなで、夕方になったので、
場所を居酒屋に移動して乾杯。

100721_01.jpg

「人によって違うと思うけど、
私はこれだったらお酒が残らないし、悪酔いしない。」
と、シークワァーサワーを頼み続けるくろちゃん。

お酒を飲みながら、
くろちゃんの作品について聞かせてください、、、

が、
しかし、

案外作品に関する話になると途端に口が重くなる。
さっきまでの饒舌が嘘のよう。
そして脱線脱線脱線、、、、

蛸(タコ)の刺身が出て来ると
「わたし蛸食べないんです。蛸、断っているです。」

なぜ?
嫌いじゃなくって、断つってどういうこと?

「イチ(猫)にオデキが出来てしまった時に
家の近くにある蛸薬師にお参りにいって、
願いながら、なでると癌がよくなるという石を借りたんです。
その間は、蛸を断たなければならないそうなんです。
おかげでイチのオデキは無事完治して
それ以来蛸は断っているです。」

蛸薬師ってどこ?何?石?
こんな感じで、
脱線話がおもしろくって興味深くって、ついつい聞いてしまう。

「聖子はヤンキーだよ。
ぶりっこだけど、本当は恐ろしい奴なんだろうな。」

「中学の時に引っ越してきた一家に
同じ学年の女の子がいたんだけど、
スタイルがいいけど岩のような顔をしていた。」

そして、くろちゃんは、自ら脱線したことに気付き、

あ、あ、あ、あ、
ごめんなさいごめんなさい。

このパターン。
これは絶対に確信犯なんだろうなー。

作品の話とそれ以外の話。

今まで話を聞いた作家の人たちには、
明らかにこの二つの話には境界線が存在した。
ひとたび、境界線を超えて作品の話の領域に入ると、
しばらく作品に関する話が続いた。
それ以外の話をしていても、
「また作品の話になってしまいましたね」的な感じで、
いつの間にやら、境界線を超えていることもあった。
だから、今回も同様に
一度、作品に関する話が始まれば、
しばらく作品の領域で話を聞けるのかなと思いきや、
どんどんどんどん、脱線していく。
作品の話とそれ以外の話の間には、
くろちゃんの中では境界線が存在しないのだろう。

その代わりにと言うとなんだけど、
くろちゃんの中には、違う境界線が存在する。

「小学生低学年男子」の領域へ踏み込む境界線。
「うんこ」「しっこ」といった言葉に目を輝かせ、
大好きな、昆虫や、生き物の話なら、ずっとしゃべってられる
「小学生低学年男子」の領域。

「小学生低学年男子の基準っていうのがずっとあって、
その基準に照らして恥ずかしいとか、おかしいとか、おもしろいとかを感じている。」
とくろちゃんは言う。

「小学生低学年男子」と「作家黒沼真由美」の境界線を
行き来してながら、作品が作られている。

最後の方は、結構いい感じに酔っぱらってらっしゃいました。

100721_02.jpg

「シークワサーサワーだって、
悪酔いはしないまでも、酔っぱらうんです。」だって。

次回も楽しみにしております。
よろしくお願いします。



WHO取材記 黒沼真由美 VOL.02

カテゴリ:

2010-5-5(Wed)

次号のWHOで特集するのは、
くろちゃんこと黒沼真由美さん。

二回目の訪問。
今回は、泊まり込みで主に撮影を予定。
元同僚ひろみさんにも同行してもらいました。
ひろみさんは、くろちゃんの日光男体山の
登山同行取材も代わりに行ってくれました。

100505_01.jpg

100505_02.jpg

順調に撮影が進みます。

100505_03.jpg

100505_04.jpg

くろちゃんが専門学校時代に描いた肖像を発見。
肖像画を描くバイトの試験で描いたものらしいです。

100505_05.jpg

「見本の写真が小さかったから」って
そういう問題ではないですよね。これは。

驚くことに、(失礼しました)
今では、たまに仕事で肖像画の発注がくるらしい。

さらに驚いたのが
くろちゃんの食生活。

朝:納豆とご飯
昼:パン(チーズ・ケチャップ・トマトをのっけてトースターへ)
夜:パン

しかも、台所でそのまま立って食べるか、寝て食べるかどっちか。
椅子には物が色々置かれていてその存在を忘れてしまうらしいです。
お肉類は一人では食べれないらしいです。
からあげは、一つ目はおいしいけど
2、3個目からもう食べれなくなってしまう。
一人だと色々想像してしまうから。

その日も豆腐だの、ちくわだの、さつま揚げだの、ほっけだの、
色々と用意をして頂いたのですが
脂っこいものを求め近くのコンビニ走ってしまいました。
ペンネだの、餃子だの、蒸し鶏のサラダをカゴに入れて、更に店内をうろうろ。
前にくろちゃんは白いものしか食べないって聞いたことあったので
白い豆腐を茶色のあんまみれにしてしまう
麻婆豆腐の素を手に、しばらく悩んだ末、カゴの中へ。
「たまに麻婆豆腐って食べたくなるよね」ってくろちゃん言ってました。

カラーボックをテーブル代わりに乾杯。
ビール片手に黒ちゃんの作品に対する考え、
幼い時のエピソードを聞きながら夜が更けていきました。

100505_06.jpg

100505_07.jpg

朝は、くろちゃんがお湯を湧かす音で目をさましました。
お茶の用意をしているくろちゃんを見て
あ、すいませんありがとうございます
と、もうすこしで言ってしまうところだった。

100505_08.jpg

よくよく見るとコップの数が尋常ではない。
神様へのお供えものでした。
お供え物の花の水も変え、
朝からテキパキ動くくろちゃんを見て
「くろちゃんもっと自分にも
やさしくしてもいいのになぁ」とひろみさん。
確かにその通り。
自分の好きなことには対しては
たっぷりと時間をかけて、丁寧に。
でも、自分の食生活や普段の生活に対しては、
びっくりするぐらい興味がない。
食事は立って食べるし
引っ越しして1年経つのに段ボールの山はそのままだし、
3日一回ぐらいは、布団ではなく座椅子ようなものを広げて
その上で寝ているし。
時間の使い方がこんな極端な人は見た事がない。
そんなくろちゃんの日常が積み上がっていくのを想像すると
なんだかとんでもない所に行き着きそう。
「恥ずかしいを避けて、消去法でやってきたら
訳が分からない所へ来てた。」
くろちゃんの作品は、その訳の分からない場所で
作られているんですね。

100505_09.jpg

二日目もよい天気。
くろちゃんにはワンピースの作品に着替えてもらって
今日は外での撮影。
サナダムシ付きのワンピースは
サナダムシの長さ調節可能。
大好きな虫にもくろちゃんは、愛情たっぷり。
くろちゃんの作品 「さなだむし」に付いたぞうむしに
「ありがとね〜。またね〜。」

100505_10.jpg

100505_11.jpg

こんな感じで持ってもらったり
今までのWHOでは撮れなかった
写真を色々撮る事ができました〜。
ひろみさんありがとう〜。
またよろしく〜。

そしてくろちゃん
ご協力ありがとうございました。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。



WHO取材記 黒沼真由美 VOL.01

カテゴリ:

2010-3-11(Thu)

次号のWHOで特集するのは、
くろちゃんこと黒沼真由美さん。

「レース編み」という、
清楚な手法で、くろちゃんは、
「水虫」、「乳」、「尿」、「肛門」といった
パンチのある言葉を編み上げます。
他にも、寄生虫をモチーフにした作品等々。

100311_01.jpg

お昼に駅に待ち合わせて、
昼ご飯を食べて、くろちゃんの自宅兼アトリエへ。
道中、くろちゃんが
「わぁ、何これ」

100311_02.jpg

ん?何ですか?

100311_03.jpg

オバQ発見。

駅より徒歩8分程で、家に到着。
引っ越してからすでに1年以上経っているとは
考えられない見事な荷物の山。
「これでも、かなり片付いた」と
はにかむくろちゃん。
どうやら、なかなか物を捨てられないらしいです。
2匹でセットの首巻きも捨てられない物の一つ。

100311_04.jpg

もちろん作品も色々拝見しました。
ホクトベガの絵。

100311_05.jpg

華やかな同期の馬に囲まれて
中央に描かれているのがホクトベガ。
そんな、馬達に混ざってあのモナリザも。
ホクトベガの調教師が彼女(雌の馬)の強さを
モナリザの微笑みと称したことがあるとのこと。

ちなみに、競馬ブックも
捨てられず、段ボールの20箱分はあるそうです。

100311_06.jpg

100311_07.jpg

くろちゃんに本をお借りしました。
目黒寄生虫館館長亀谷さん著者
「おはよう寄生虫さん ―世にも不思議な生きものの話―」

ざっと目次をみると、、、
だんだん最後まで読めるか不安に。

・川のカニをいじめてはいけない
(ほぉ〜)

・頑固じいさんの錯覚
(うんうん、なんかありそうありそう)

・西郷さんのホーデンが大きかった理由
(ホーデン?)

・人魚を見たい、そのシラミはもっと見たい
(そういうもんなんですかねぇ)

・執念深いコブが体内を動き回る 顎口虫(がつこうちゅう)
(なんか怖い)

・男の子の口から5000匹の回虫がでてきた
(ビジュアルがないのを祈るしかなさそう。)

中をめくると、ところどころに
くろちゃんによるアンダーラインが。
くろちゃん目線まで楽しめるとは贅沢。

気付いたら、陽も暮れてもういい時間。

テレビを持っていないので、近くにある実家に、
今はまっているドラマ「不毛地帯」を見に行くという
くろちゃんと一緒に家を出ました。

次回の取材は、4月頃を予定しております。
どうぞよろしくお願いします。



         

blog.jpg
editor profile

杉原洲志 Shuji Sugihara
1976年生神奈川生まれ。
WHO編集長/アートディレクター

2020年 2月
S M T W T F S
« 4月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
mail magazine

WHOメルマガ購読申込はこちらから
メルマガバックナンバーはこちらから
Info more...