BITE VOL.19 hole
2013-6-27(Thursday)
「つらい時も腹は減るんだよねぇ。」
NHKの朝ドラで耳にした台詞。
母親が生まれて初めて失恋した高校生の娘に向かって
言ったこの台詞は、よく聞くモノだし、
実際自分でもそんな経験はある。
そりゃあそうだと、少し過食気味な気分になる。
でも今回は、その続きがあった。
「で、焼きそば食べると歯に青のりつくんだよねぇ」
この台詞がすごく気に入った。
何かに穴があいたかのようにそこから
笑い、恥じらい、滑稽さ、などなど一気に流れこんできた。
小さい頃、公園の砂場で山を作りトンネルを掘るのが好きだった。
友達とこっち側と向こう側の二手に分かれてひたすら掘り続ける。
そうすると、じゃりじゃり、から全く異なる感触にぶつかる。
あのつながった時の感覚は忘れられない。
そして、誰も見えないところで手がふれあう
あの気恥ずかしさも忘れられない。
向こう側につながった時の感覚と砂場に密室を作るために
せっせと砂を集めていたようなものだった。
オスカー・ワイルドの言葉、
「素顔で語る時、人はもっとも本音から遠ざかるが、
仮面を与えれば事実を語りだす。」
仮面は隠すところと見せるところが
見事にコントロールされた代物だ。
目の部分に2つの穴があいた壁を挟むことによって
人はより大胆により本質的になるというのだ。
同性愛者の回りにも壁は存在する。
隠すところと見せるところをコントロールするために
自分でたてた壁もあれば、
いつの間にか誰かがたてた壁もあるし、
取り壊すことは不可能な分厚く高い壁もある。
それでもどんな壁でも、そこに穴をあけることはできる。
そして、その穴からは、待ってましたとばかりに、
見たこともないもの、知りたくなかったこと含め、
いろいろ流れこんでくるのだ。
Biteは、ゲイの存在を様々な角度から
探っていくビジュアルブック。
どちらにも固定されない不安定さ、
曖昧さが持つ可能性を探って行きます。