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BITE VOL.13 swing

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2011-5-26(Thu)

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ゲイの存在を様々な角度から
探るビジュアルブック「BITE」が
只今構想段階。

友人の子どもをブランコに乗せて一緒に遊んだ。
小さい背中を押す度にブランコは大きく高く揺れ、
きゃっきゃとうれしそうな声も聞こえてくる。
乗っている本人が嬉しいとなると
押しがいもあるってもの。

こんなブランコは怖そうだけど、
乗る機会があれば乗ってみたい。

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橋口亮輔監督の「渚のシンドバット」に登場する高校生達も、
まるでブランコに乗っているかのよう。

「キスできる?嫌ならはっきり言えばいいじゃん。」
「俺が言ったから、お前も言え。」
落ち込んでいる女子を元気づける為にバク宙しちゃう男子。
思ったことをすぐ口にする子どもみたいだったり
急に大人びた一面をみせたり。

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気持ちが大きく揺れ動く。
時に残酷にも理不尽にもなるし、
相手の事を純粋に思いやることもする。

心が揺れつつ、とまどいつつも
女の子同士の恋の一歩を踏み出す
青春映画「show me love」。

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(以下ネタばれ含む)
映画の終盤、トイレの個室で話す2人を
周りは片方の女の子が彼氏とトイレにこもっていると大騒ぎ。
そんな中、覚悟を決めてトイレから出て来る
2人の姿はなんとも爽快。

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小さい頃、ブランコから
ジャンプをするのが好きだった。
大きく揺れたブランコから勢いよく飛び出すと
とんでもなく高く、遠くへ飛べ、
それはもう爽快な気分だった。

「show me love」の唖然とする周りをよそに
手に手を取り歩き出す2人の姿や
「渚のシンドバット」の
ラスト電車に揺られる主人公の表情や
溝に落とした友人の自転車を
引き上げに行き、明け方の町へ漕ぎ出す姿は
まさに大きく揺れるブランコから
パッと飛び出したような躍動感があって
心に残るシーンとなった。

周りの言動や将来に対する不安は、
背中を押す力となりブランコは高く、大きく揺れる。
そして揺れが大きければ、大きいほど
まわりの景気は見えなくなり
その状態を楽しむことは当の本人は難しい。

それでもその揺れを勢いに変えて
勢い良く飛び出せば、
高く遠くへ飛ぶことができる。

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BITE VOL.12 view

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2011-5-20(Fri)

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ゲイの存在を様々な角度から
探るビジュアルブック「BITE」が
只今構想段階。

とっても自己中心的で、頑固で、
自意識過剰なMr.ビーン。

ホテルでは、フロントで並んだ隣の客よりも
一刻も早くチェックインしたいし、
一刻も早く部屋に着きたい。
なんとも負けず嫌い。

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クリスマスには、
自分宛にたくさんのカードを送り
いつもは寝起きが相当悪いのに
ベッドから飛び起き
いきなりテンションマックスで小躍り。
自分で靴下につめたプレゼントにびっくりする姿は
なんとも愛くるしい。

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「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」では
くじ引きで見事一等賞を当て
バカンス&ビデオカメラをゲットする。

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その映画の冒頭に、
出発を待つ駅のホームで、
ビーンが誇らしげに賞品のビデオカメラで
その辺を適当に撮影するシーンがある。

すると、いきなりの手ぶれ映像に切り替わる。
そう、まさかのビーン目線。
柱の時計やら何やら全くストーリー上では意味のない、
説明的ではない、ひと味違う時間が流れる。
ビーンの思考をかいま見たような、
一気に距離が縮まったような気分でした。

映像は、見るものの視点を
自由自在に操ることができる。
アングルを変えたり、
見せたい所をアップして見せたり、引いて見せたり、
ある人物の視点に変えて見せたり。
あらゆる視点をパッパと切り替えながら、
一つの流れを作っていく。

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恐怖と笑いの両方を
世に送り出す漫画家楳図かずお。
「追われる者と追う者の関係のように
視点を映せばそれは恐怖にも笑いにもなる。
追われる側は怖いと思うけど、
追いかける方には切迫した理由で
追いかけてない限り、すごく楽しいんじゃないかな。
だから逃げている人を見て
すべったりころんだりする様を笑うことができる。」
(「恐怖と笑い」より)

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確かに、少年の心と中年男性の姿を持つ
Mr.ビーンも視点が変われば挙動不審な中年男。
実際に、「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」では
行方不明の少年とビーンの姿が映った
防犯カメラの映像が有力な証拠となり
誘拐犯として警察から追われるハメに。
防犯カメラという
ビーンに対する愛の全くない
機械的な視点になると
間違われてもしょうがない?

「同性愛者にとって暮らしやすい社会は、
異性愛者にとっても暮らしやすい社会。」
という言葉を聞いたことがある。
一つの視点に縛られない社会は確かにそうに違いない。

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BITE VOL.11 group

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2011-5-9(Mon)

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ゲイの存在を様々な角度から
探るビジュアルブック「BITE」が
只今構想段階。

虫も一匹だと
なかなかかわいいものだ。

どこにいるかなぁ、いないねぇ。

葉っぱの後ろなんかに
ひっついているダンゴ虫を見つけて、
あ、こんな所にいる、
あ、動き出した、
どこに行こうとしてるんだろうねぇ
なんて感じで。

でも、虫の気持ちを想像して、
「おうちに帰ろうとしてるのかな?」なんて
楽しめるのも1匹や2匹まで。
それが5匹、10匹となった途端、
虫好きではない僕は、
かわいいなんて言ってられなくなる。

互いに互いの体を登り合ったり、
何を考えいるのかさっぱり分からず
思い思いに動いている様は
まさにうじゃうじゃ。

一列に整列して行進でもしてくれれば
まだ楽しく見れるだろうなんて
とっても勝手な事を思ってしまう。
でも、同じような姿形のダンゴ虫の群れが、
全員が同じ目的を共有し、
同じ方向に整列して動く様は、
それ自体が結合された一つの生き物のようで、
多分それはそれで何か不気味で恐ろしいのだろう。
人間に勝ち目がない気がしてしまう。
まさにオームの大行進。

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たくさんのマリリン・モンローの顔が整列する
アンディ・ウォーホールの作品。
くり返されるマリリンの顔は、
柄のように目に映り、
彼女の強烈なセックスシンボルとしてのイメージや
孤独な自殺を遂げた悲劇的なイメージも
和らぎ、覆い隠されるように感じる。

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双子も日常に潜むくり返されるイメージの一つ。
そういえば双子の芸人、ザ・たっちのコントで、
カツラを被り、ドレスを着て
マツコデラックスに扮した二人が、
私がマツコよ!
いいえ、私がマツコよ!!
って取っ組み合いになるものがあった。
二人のずんぐりむっくり感が
マツコデラックスを
本当に二つに分けたようで、
見ていて妙におもしろかった。

そういえば、この二人も双子設定だった。

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この二人の場合はもちろん違うが、
一卵性の双子を見ていると、
まさに一人の人間が
二つに分かれたのではないかと思うことがある。
一つの意志で二人の人間が動いているような。
すごく混乱することがある。

写真家ヴォルフガング・ティルマンスは、展示をする際に
あえて、同じ部屋に同じ作品を繰り返し使うことをするそうだ。
彼曰く
「普段人は写真を情報としてのみ見たり読んだりします。
しかし同じ写真が突然二回現れることによって、
写真から読み取られた物語は断ち切られてしまう。
写真を読むだけでは収まらない次元が現れたからです。」
(東京オペラシティ/アーティスト・トークより)

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ティルマンスの写真には、
一枚一枚の構図の美しさはもちろん、
写真群としての魅力がある。

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裸、果物、同性愛、異性愛
様々な要素の集合体が、
ひとつの「こと」となる。
個々には出せない力を持ち
時として個々のイメージを和らげ、
覆い隠すことも。

そしてどんな「こと」も
こんなにも多彩な個々の集合体として
存在していることを知る。

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editor profile

杉原洲志 Shuji Sugihara
1976年生神奈川生まれ。
WHO編集長/アートディレクター

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