blog

BITE VOL.15 personal

カテゴリ:

2011-6-26(Sun)

100426_01.jpg
何かと何かの間にあるものを
探るビジュアルブック「BITE」が
只今構想段階。

映画監督スタンリー・キューブリックを追った
ドキュメンタリー「A life in pictures」を観た。
作品一つ一つの解説と、出演者やスタッフ、家族の話を通じて
キューブリックの生涯を追っている。
面白かったのが、彼のプライベートな部分。
ホームビデオに映る妹と2人で、
楽しそうに踊る幼少期のキューブリック。
おしくらまんじゅうみたいにして、
おしりでポンと妹を突き飛ばして、
画面を独り占めしてしまう。
結婚し家族ができて今度は
ホームビデオを撮る側になったらなったで、
子ども達に向かって、大声でああしろこうしろと命令口調。
画面の隅々までコントロールされつくされた世界観を
作り出すには、やっぱりこうでなくっちゃと思わず笑ってしまった。
作り出された作品と密接にある
こうした作り手のパーソナル部分にすごく惹かれる。

110626_01.jpg

そもそもアートブックWHOは、
そういった作家のパーソナルな部分を
見てみたいという動機から始まっている。
どんな場所で制作しているのか、どんな子どもだったのかとか、
好きな映画は何とか、何をコレクションしてるとか。
実際に一冊にまとめてみると、
いかに、個人的な記憶、経験、執着、趣向といったパーソナルな部分が
作品と密接に関わっているのかが分かった。
もちろんそれを、そのまま出しているわけではない。
制作という過程の中で、演出、編集され、
研ぎすまされて作品へと変容していく。

キューブリックの遺作「Eyes wide shut」に出演したトムクルーズは、
ドキュメンタリーの中で、こんなことを言っていた。
何度も何度もテイクをくり返していると、いいと思えるものにぶつかる。
それでも結局まただめで、はじめからやりなおし。
「何が足りない?」と聞くと彼は「I want magic(マジックだ)」と。
そして、テイクをくり返してていくと、
それまでとは全く違うものにたどり着く瞬間がくる。

キューブリック個人のビジョンを
出演者、スタッフを巻き込んで、
皆で限界まで、追い求めているよう。
そういうスタンスを自身の手で勝ち取った映画監督。
だから出来上がったものは、
彼の思想が溢れた作家性の極めて強い、
「それらしい映画」とは対局にあるような作品。

パーソナルとパブリックの間には、フィルターが存在する。
抜けるためには、マジックも時には必要ぐらい大きく分厚いフィルター。
それでも、試行錯誤をくり返して、世に出た時には、
見る側にも作った側にとっても、
新しい景色が広がっているのだろう。

110626_02.jpg

110626_03.jpg

110626_04.jpg

110626_05.jpg

110626_06.jpg

BITEでは、ビジュアル提供者を募集しております。

興味がある方はお問い合わせより、メールで一度ご連絡ください。


コメント

このコメントのRSS

TrackBack URL : http://artbookwho.com/modules/wordpress/wp-trackback.php/39

この投稿には、まだコメントが付いていません

コメントの投稿

ごめんなさい、現在コメントを付けることは出来ません


         

blog.jpg
editor profile

杉原洲志 Shuji Sugihara
1976年生神奈川生まれ。
WHO編集長/アートディレクター

2011年 6月
S M T W T F S
« 5月   7月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
mail magazine

WHOメルマガ購読申込はこちらから
メルマガバックナンバーはこちらから
Info more...