MOVIES:橋口亮輔01
2011-8-11(Thursday)
橋口亮輔監督の映画のどういう所が好きかというと、
色々あるけれど、個性豊かなキャラクターたちが出てくるところもそのひとつ。
特にちょっと嫌な感じのする人たち。
例えば、「ハッシュ」でつぐみが演じた
田辺誠一演じる勝裕を執拗に追いかけまわす永田さん。
彼女は周りの景色なんか見えないくらいの猛スピードで一人大疾走する。
「私、左足の方が少しだけ短いんです」と言って、
急に裸足になってころびそうなほど、よたよたしながら
勝裕の方に向かって歩くシーンには見てるこっちが唖然とした。
そんなアピールの仕方ってありなの?!
そして、この足の長さが少し違うという告白に対して、
別にいいんじゃないという勝裕の言葉は、
永田さんの中ではものすごいスピードで転換され、
結婚OKということになってしまう。
最後までそんな調子で突っ走る永田さんを見ていると
猛スピードで走るマラソンランナーを見ているような気になる。
チャンネル変えて、また戻ってきたら
ウソ、すごいまだ走ってるといった感じ。
とにかく彼女は全然めげない。
誰に何と言われようとゴールを目指すのだ。
しかも、レース途中に突然靴を脱いで裸足で走り続ける永田さん。
走れば走るほど痛々しくみえる。
そういえば、松岡錠司監督の「歓喜の歌」で
根岸季衣がひきこもりの息子のために
モノにあたるかのように超高速で焼きそばを作るシーンはすごかった。
ものすごいスピードで、野菜をきざみ、炒め、味つけをしていく。
「ハッシュ」に出てくる高橋和也演じる直也が勤める
ペットショップの同僚もなかなかの速さの持ち主。
色々愚痴を言いながら、ドックフードをお皿に分けていく。
初めての時には、あれ、ちょっと多すぎたかな、こんなもんかな、なんて
色々考えながら慎重かつ丁寧にやったろうに。
いつしか、そこから慎重丁寧はそっくりそのままなくなり
代わりに一刻も早く終わらせたい感のあるスピードが出てくる。
さらに、何も考えずに勝手に手が動くというレベルに達すると
始終口では、愚痴をいいながらもいつものスピードを維持できてしまう。
この速いっていうのは、時として感じがすごく悪い。
あの素早さで生き抜いてきたのは分かるが
ゴキブリだってあんなに速く動かなかったらもうちょと
まともな扱いを受けているはず。
そういえば、一回グレープフルーツを半分に切ったにものに
頭をつっこんでいるゴキブリを見たことがある。
いつもは、こっちの動きを早々に察知し、
あっという間にどこかに消えていくのに、
近寄っても全然気づかないで、夢中でグレープフルーツの中に
頭をつっこみ続けている。
なんかちょっとかわいいとさえ思ってしまった。
と、同時に人はつくづく
ギャップに弱いんだなぁと思う。
そんなギャップという
恋愛においての必勝テクにも目をくれず
一つの方向に大疾走する人たちはやっぱりおもしろい。
次回に続く。
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